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2019年3月16日 (土)

電子書籍■霧の少女 連作ショートショート 少女/結城 涼

霧の少女 連作ショートショート 少女/結城 涼

・内容紹介
少女をテーマにしたショートショートのシリーズ作品です。
幻想文学を標榜しています。
1~3話は合本版も販売中です。
※本文より
 年に1、2回。いや数年に、だろうか、東京でも濃霧といえるような霧に包まれることがある。深夜、そんな霧の中にぼうっと霞む街路灯の光は幻想的な美しさでボクを魅了する。めったにないことだから、コンビニに買い物にでもと自分にいい訳をして、たいして急ぐこともない買い物に霧の中を出掛けたりもする。霧のひんやりとした感触、それでいて少し蒸っとしたような空気が好きだ。そう、その夜もそんな霧が街を包んでいた。
 コンビニまではまっすぐ歩けばほんの2、3分の距離だが、わざわざ遠回りをして公園の中を抜けていく。霧が街灯の光を反射して周辺がぼうっと白く霞んで見える。タクシーがスピードをゆるめて走っていく。ヘッドライトが霧の中に溶けている。
 静かだ。深夜でも車の断えない東京だが、雪の夜やこんな霧の夜には森と静まり返り…その静けさが新鮮に思える。
 全身がしっとりと湿ってくる。この感触もなんともいえない。
 公園の木々が霧の中にその輪郭をぼやけさせ溶け込んでいる。ベンチが、ブランコなどの遊具が幻のように見える。そんな中、いくつかあるベンチのひとつに人が腰掛けているような影が見えた。こちらの進んでいく方向にあるベンチなのでそのまま近づいていくと、霧の中にその人影が女性であることがわかった。
 ベンチに腰掛けている、といっても普通に座っていたわけではない。横向きに、両足をベンチの上に乗せて膝を抱えるようにして座っている。
 深夜に、しかもこんな霧の中で公園のベンチにひとりで座っているというのはどういうことだろう。家出をしていくところがないという雰囲気にも見えなかった。もしかするとボクのように、この霧に誘われて家を出てきたのかもしれない。

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